奮発して買った国産牛の塊肉。表面を香ばしく焼き、慎重にアルミホイルで包んで余熱を通したはずなのに、切ってみれば中心は生々しい赤か、あるいは火が通りすぎてパサパサの茶色。そんな絶望を、私は料理ライターという仕事をしながら何度も味わってきました。温度管理という、プロでも五感を研ぎ澄ます領域を家庭で再現するのは、正直言って苦行でしかありませんでした。
ところが、アイリスオーヤマのポケットシェフ「PLTC-M01-B」を手にしてから、我が家のキッチンにおける「肉料理の敗北」は過去のものとなりました。水を使わず、袋に入れて放置するだけ。このシンプルさが、どれほど料理のハードルを下げ、食卓の質を跳ね上げてくれたか。かつての大きな鍋と大量の水が必要だった低温調理器には、もう戻れそうにありません。
この記事では、アイリスオーヤマのポケットシェフ「PLTC-M01-B」を使い倒している筆者が、プロ級の肉料理を自宅で再現するコツや、実際に使ってわかった本音のメリット・デメリットを詳しく解説します。
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なぜアイリスオーヤマ「ポケットシェフ PLTC-M01-B」が従来の低温調理器を超えるのか
準備と片付けの概念が変わる「水を使わない」構造
従来の低温調理器といえば、深さのある大きな鍋に大量の水を張り、スティック状の機器を固定するスタイルが一般的でした。しかし、これには致命的な欠点があります。準備がとにかく重労働なんです。水を溜める時間、それが温まるまでの待ち時間、そして使い終わった後の重い鍋の片付け。これだけで「今日はもういいや」と心が折れるには十分な理由でした。
ポケットシェフPLTC-M01-Bは、この「水」という概念をバッサリと切り捨てました。ポーチのような本体に食材を入れたチャック付き袋をセットし、スイッチを押すだけ。水を使わないので、予熱も圧倒的に早いですし、使い終わった後にキッチンが水浸しになる心配もありません。この軽快さこそ、日常使いする家電には最も必要な要素だと言い切れます。
キッチンが狭くても諦めなくていいコンパクト設計
プロの料理人が使うような本格的な調理器具は、得てして巨大で場所を取ります。しかし、日本の一般的な家庭のキッチンに、あの巨大な低温調理用の水槽を常設するスペースなんてありませんよね。私もかつてはスティック型の調理器を持っていましたが、収納場所から引っ張り出してくること自体が億劫になり、結局棚の奥で眠らせてしまった経験があります。
その点、ポケットシェフは驚くほどスリムです。本棚に立てておけるようなサイズ感なので、キッチンの隙間にスッと収まります。使いたい時にサッと取り出し、テーブルの片隅で調理を完結させられる。この「存在感のなさ」が、実は料理を継続させる最大の秘訣だったりするわけです。
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料理ライターが断言する、ポケットシェフで絶対に作るべき肉料理
58度で3時間、安物の牛モモ肉が高級店のローストビーフに化ける
低温調理の醍醐味は、なんといっても牛肉です。ローストビーフを成功させる鍵は、タンパク質が凝固し始める直前の温度をいかに維持するか、この一点に尽きます。私はPLTC-M01-Bを使い、58度で3時間じっくりと加熱するスタイルに落ち着きました。これが、赤身肉の旨味を最大限に引き出しつつ、シルクのような滑らかな舌触りを実現する黄金律です。
スーパーの特売で買った100g数百円の牛モモブロックが、このポーチの中で数時間過ごすだけで、ナイフがいらないほどの柔らかさに変貌します。切り分けた瞬間に溢れ出す、透き通った肉汁。フライパンで表面を強火で1分ずつ焼き付ける仕上げさえ怠らなければ、そこにはもう「家庭料理」の域を超えた一皿が完成しています。
パサつき皆無の鶏むね肉は、朝食の質を劇的に変える
ダイエットや健康管理の味方である鶏むね肉ですが、普通に茹でたり焼いたりすると、どうしてもパサパサして飲み込みづらくなりますよね。これを「仕方ない」と諦めるのは早すぎます。ポケットシェフで63度、1時間半ほど加熱した鶏むね肉を一度食べてみてください。きっと、今までの鶏むね肉に対する概念が根底から覆されるはずです。
ハムのようにしっとりとしていて、噛むたびにジワリと広がる鶏の甘み。これを冷蔵庫に常備しておけば、忙しい朝でも最高のタンパク質源が手に入ります。コンビニのサラダチキンを買い続けるよりも圧倒的に経済的ですし、何より添加物を気にせず、自分好みのスパイスやハーブで味付けできるのが最大の贅沢です。私は最近、塩麹と少しの生姜を一緒に入れて仕込むのがお気に入りになっています。
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実際に使ってわかった、PLTC-M01-Bの「ここだけは妥協点」と対策
同時に調理できる量には限界がある
非常に便利なポケットシェフですが、魔法の道具ではありません。そのコンパクトな形状ゆえに、一度に調理できる食材の量には明確な限界があります。家族4人分の厚切りステーキを一度に、というのは正直厳しいです。欲張ってパンパンに詰め込んでしまうと、熱の伝わりにムラができてしまい、せっかくの温度管理機能が台無しになってしまいます。
目安としては、2人分、あるいは大きめのブロック肉一つ分と割り切るのが賢明です。もし大人数でのパーティーを想定しているなら、メインディッシュの肉だけを事前にこれで仕上げておき、他の料理を並行して作るという段取りを組むのがプロのやり方です。たくさん作りたい時は「回転させる」という発想を持つことが、この道具と長く付き合うコツでしょう。
チャック付き袋の空気抜きが仕上がりを左右する
水を使わない「ドライ式」の加熱方法だからこそ、食材と袋の間の「空気」には人一倍敏感になる必要があります。空気が残っていると、そこが断熱材のような役割を果たしてしまい、熱が肉にうまく伝わりません。結果として、設定温度に達するまで時間がかかったり、火の通りにムラができたりする原因になります。
私はいつも、水を入れたボウルに袋を沈めて水圧で空気を抜く「水没法」を使って、可能な限り真空に近い状態を作っています。これをするかしないかで、仕上がりの均一性が全く違ってきます。少し面倒に感じるかもしれませんが、ここだけは「プロのひと手間」としてこだわってほしいポイントです。それさえ守れば、あとは機械が完璧な仕事をしてくれますから。
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ポケットシェフ PLTC-M01-Bに関するよくある質問(FAQ)
電気代はどれくらいかかりますか?
数時間も電源を入れっぱなしにするとなると、電気代が気になりますよね。ポケットシェフの消費電力は低く、1回の調理(約2〜3時間)でかかる電気代は数円程度です。大きなオーブンを予熱して長時間稼働させることに比べれば、はるかに経済的で効率的な調理方法だと言えます。むしろ、外食で高いステーキを食べる回数が減ることを考えれば、すぐに元が取れてしまう計算です。
使える袋に指定はありますか?
耐熱温度が100度以上のチャック付き調理袋であれば問題ありません。私はジップロックのフリーザーバッグを愛用していますが、安価な袋の中には耐熱温度が低いものもあるので注意が必要です。加熱中に袋が溶けてしまうと、本体の故障だけでなく、せっかくの肉が台無しになってしまいます。ここはケチらず、信頼できるメーカーの耐熱バッグを選んでください。
お手入れはどのようにすればいいですか?
基本的には、食材を袋に入れた状態で加熱するため、本体が汚れることはほとんどありません。使い終わった後に、熱が冷めてから内部を軽く除菌シートなどで拭き取るだけで十分です。水を使わないことの最大のメリットは、この「洗う手間」の少なさにあります。スティック型のように、石灰汚れをクエン酸で落とすような面倒なメンテナンスも不要。ズボラな私でも毎日使い続けられているのは、この手軽さのおかげです。
結局のところ、料理の成功を支えるのは、高度なテクニックよりも「正確な温度」と「ちょっとした余裕」なのだと、このマシンが教えてくれました。火加減に一喜一憂していた時間は、今ではサイドメニューの野菜を刻んだり、お気に入りのワインを選んだりする時間へと変わっています。
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